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football mania

音楽レビュー等

Wonder Future‐アジカンと歩む未来-

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの2年8か月ぶりのアルバム「Wonder Future」を聞いた。

発売は5か月近く前だが、今更聞いた。

「Wonder Future」そう未来について歌ったアルバムである。

アジカンのアルバムで未来を歌ったアルバムと言えば「ワールドワールドワールド」が思い出される、最後の曲「新しい世界」は未来に向かって進んでいくとてもポジティブな楽曲だった。

しかし、今回の「Wonder Future」は少し毛色が違う。

このことは後述しよう。

 

今回のアルバムは「Foo Fighters」のプライベートスタジオ「Studio606」にて制作された。

そのことも影響してか音圧が今までのアジカンのアルバムに比べると比較にならないぐらい強い。

このことは賛否両論を私の中で呼んでいる。

まず、前回のアルバム「ランドマーク」を振り返りたい。

色々なレビュー等で書かれている通りこのアルバムは言葉のアルバムであった、そしてアナログ盤と対応するように6曲目までA面、7曲目からB面と明確なテーマがあった。

それにサウンドに関してはメンバー皆で作ったというのがクレジットを参照しても見て取れる。

そして、「ランドマーク」と「Wonder Future」の間には後藤正文のソロ名義であるGotchのソロアルバムも作製されている。

こちらは完全に1人で楽曲作成をしているアルバムである。

以前、後藤はバンドと個人は切り離して考えている、アジカンではファンの想いをある程度受けなきゃいけない責任のようなものを感じているとTwitterにてつぶやいていた。

それにおいても、今回のアルバムを聞いてこのソロ名義のアルバムのことも考えずにはいられなかった。

今回のアルバム、音が今までのアジカンとはまったく違うのである。

前述の通り、Foo Fightersのスタジオで作製したという影響がとても強いのは感じる、しかし、これほどのキャリアを持っているバンドであればその環境ですら自分たちの色を出すことは可能だと考える、ではアジカンの面々はなぜこのような楽曲たちをアルバムにしたのか、そこに対して私は迷っているのではないかと考える。

そう、迷っているのである。

 

歌詞面に関しても触れておきたい。

前回のアルバムでは言葉遊びを各楽曲にて行っており、ある意味言葉のアルバムと呼んでも過言では無かった。

「ワールドワールドワールド」においても新しい世界にて力強く新しい未来を築こうとしていた。

今回の「Wonder Future」ではアルバムタイトル通り未来についての楽曲が多い。

更に若干ではあるが世界情勢であったり所謂時事問題的な歌詞も目につく。

"五月蠅いんだよ、黙ってろよ、お前、世代とか国籍とか括れないさ"と歌う「小さなレノン」

"淀んだグレーの工場街でまとめて顔を削ぎ落とす、個性なんて必要ないさ、家畜のように飼い慣らす"と酷く現実的な歌詞に現在の平準化を嘆く「芋虫」

アジカンと言えば明後日の方向を歌っていて、実は皆の日常を歌っているんだよという楽曲が多かった気がするが今回はここまでどストレートに描いている。

全体的に暗い歌詞が多いのかと思えば、NANO MUGEN コンピに収録されていた「スタンダード」では最初は1人で歌ってた少女の歌が次第に賛同者を得てスタンダードになっていく様が描かれている。

"僕がいつか老い果てても、途絶えてしまっても、君は構わず進むんだよ"という歌詞が象徴的に全体として朝陽というワードがキーワードとなっている「永遠の陽光」

 

未来の現実的な面も歌いつつ、でもどこかで希望は捨てないでいよう、でも実際はどうなるんだろう、という踏ん切りがつかないという印象をとても受ける。

そう、ここでも彼らは「迷っている」のである。

 

極めつけは表題曲である「Wonder Future」である。

"ワンダーフューチャ―、旅の先にどんな結末が待っているんだ、そんな不安が過ったんだ"

"ワンダーフューチャ―、霧の先にどんな未来が待っていたって、もう漕ぎ出してしまったんだな"

そう、力強いサウンドとは裏腹に歌詞はとても迷っている。

こんなアジカンは今まで見たことがない。

こんな暗い世の中だけど希望は捨てないでいこうと歌ってきたアジカンがここで遂に迷ったのである。

色々な活動を行ってきている、フロントマン後藤正文の心の内が吐露されているのかもしれない。


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