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オワリカラ【ついに秘密はあばかれた】迎合しすぎて見失ってしまったアルバムあるいは恐れ。

インディで活動したほうが良いのか、メジャーに活躍の場を移した方が良いのか、音楽を奏でCDを出す者にとっては永遠に解決することのできない悩みといえる。

 

CDが売れない売れないと言われている昨今において、メジャーに所属する意味はなんなのだろうか。

組織に属すことによってある程度の保証がされるからであろうか。社会的に身分が保証されるからであろうか。

商業的なムードに嫌気がさし、独立しレーベルを作るアーティストが増えてきている現代において、新たに活躍の場をメジャーへ移したバンドがいる。

それがオワリカラである。

2008年にデビューしたタカハシヒョウリ率いる4ピースバンドのオワリカラ

5月16日にリリースした【ついに秘密はあばかれた】でメジャーデビューする。

前作【サイハテ・ソングス】ではオワリカラの未来形である音像を見つけたと語っていたタカハシヒョウリ

タカハシ「今回、音楽的にはそこがすごく肝だと思ってて。『MUSIC SLIDER』『はなとゆめ』みたいな曲が、意外と予告編というか、未来を語ってるんじゃないかなって気はする。自分らなりのソウルというか、ちょっとそういう部分を追求したい気持ちもありまして。それが出来た最初の一歩かなっていう感じがするんですけどね」 

 前作ではオワリカラが持つ神秘主義的な部分が前編に漂っており、オワリカラがアルバムを出していると100%分かるアルバムになっていた。

さらに前作最後の"L"では「現実のギリギリちょっとうえ、おれらのねぐらを作るんだ」と歌っておりオワリカラとしてやっていく決意表明のようにも感じられた。

 

その前作から2年、今作【ついに秘密はあばかれた】である。

あまりにも迎合しすぎなアルバムではないかと疑問を投げかけたい。

前半6曲は2016年に、後半6曲は2015年に作成をしたものとタカハシヒョウリ自身が語っている通り前半と後半で雰囲気が違う楽曲たちが収められている。

前半6曲に関してはオワリカラのらしさが感じられず残念な出来になってしまっている。

それはなぜなのか、おそらく楽曲の構成がかっちりしてしまっているからだと考える。

メジャーデビューするにあたり、わかりやすい曲調を意識しすぎて曲を作ってしまったのではないか、そこがオワリカラらしさを消してしまっている。

歌詞にも「おじいちゃん」「おばあちゃん」という単語が2曲にわたり使われており、これは全世代に音を届けたいという意思表示に思える。

その意志がオワリカラらしさを半減させてしまっているように感じられる。

後半6曲に目を向けてみると、対象的になっており、今までのオワリカラらしさを盛り込んだ楽曲に対して管楽器が入っている曲、前作で未来形と称したようなリズムを持った曲などオワリカラが正当にレベルアップしているところが見て取れる。

そして"new music from big pink"においては「おれの想い 夜を越えて お前の街へ」「おれは今ここにいるよ 燃えているよ」とオワリカラの今作にかける想いが乗っかっている。

 

インディ時代の方が良かったなんて使い古された言葉は使わない、メジャーに行ってもオワリカラらしい音楽を鳴らして、そしてそれを世間に知らしめて欲しい。

インディを捨ててメジャーに移った彼ら、多少の戸惑いはあるにしろ間口は既に開かれた。メジャーの舞台で存在証明をしてもらいたい。

 


オワリカラ『new music from big pink』MV

 

 

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