football mania

音楽レビュー等

honne【WARM ON A COLD NIGHT】

 

 

honneのデビューアルバム【WARM ON A COLD NIGHT】のレビューが海外サイトにあがっていたので翻訳してみる。

 

ロンドンを拠点にして活躍するエレクトロデュオhonneのデビュー・アルバムがリリースされた。タイトルは【WARM ON A COLD NIGHT】

このタイトルはこのアルバムにとってもあっている。その理由は2つある。

ひとつめは、「warm on a cold night」は彼らの最初のヒット曲であり、このアルバムのリード曲でもある。その曲名をタイトルにするとはこのアルバムに対する期待がとても高まる。ふたつめの理由はこのタイトルがhonneの奏でる音楽の要素を言い表しているからである。このアルバムはとても暖かく、またできることならば夜にベッドで、またできることならばこのアルバムから暖かさをもらうのではなく、他の人(自分の好きなひと)と聞いて欲しいアルバムである。

 

それではhonneの音楽の中に入ろう、準備はいいかな。honneの音楽に複雑なことはなくとてもシンプルだ。なめらかなシンセサイザーの音とアンディー・クラッターバックのソウルフルな歌声が混ざり合っている。彼らはこのアルバムの最初ではとても面白くキャッチーな方法で楽曲を作っていたが、アルバムの途中からなんだか陳腐な楽曲が増えているような気がした、そこで私は彼らのどこが限界でそれをどうやって超えなければいけないかを今回明かそうと思う。

 

まず最初にタイトル曲である「warm ona cold night」からこのアルバムはスタートする。

この楽曲からスタートすることはとても素晴らしいなぜならば、このアルバムの中でもっとも力強いトラックであり、なおかつ、このアルバムに対するリスナーの期待を高められる楽曲だからだ。

残りの楽曲から考えてこの曲は一番力強くもなければ一番気楽な音楽でもない、だからこそ、前菜としてリスナーはこの曲を聞くことができるのだ。

2曲目の「til the evening」これも1曲目と同じような構成となっている。密度の薄いコーラスからミュージカルのクレッセンドのように強くなっていくシンセサイザーが象徴的。

みなさんはキャッキーな1曲目をもっと聞きたくなるだろうが、私はこの「til the evening」はもっとソウルな楽曲から影響を受けており、コーラスがずっと鳴っているあたりが1曲目との違いであると考えている。

 

これまでの2曲はこのアルバム最大の名曲である、3曲目の準備でしかなかったのだ。

その名も「someone that loves you」である。

この曲の特徴は始まってすぐに、アルバム内でもっとも力強い音を出すところである、そして浮遊性があり素早いトラックは他のアーティストのエナジーみなぎる楽曲よりも素晴らしい。

そしてさらにアルバム唯一のフューチャリングでの楽曲であることも注目すべき点である。

イジービズ、彼女の特異な声が絶妙なさじ加減でこの楽曲を唯一無二のものにしてくれている。

そして、彼女の歌声の影響を最も受けているのがアンディだ。

彼はこの曲の最中、イジービズの歌声をかなり真似て歌っている、その結果この2人のヴォーカリストの歌声は素晴らしいものになっている。

 

アルバムを先に聞き進めよう、「All in the value」ではコーラスが楽しめ、さらに長くゆっくりなシンセサイザーの音ではなく元気で快活な音が聞ける。

次の「treat your right」ではポジティブな歌詞とともに、ファジーであたたかみのある曲調はまるで大きなくまに抱かれているような安心感を感じさせてくれる。

 

とても残念なことにこのあとの楽曲は聴き進むにつれて、ひどくなっていく。

「out of my control」は独創性にかけたスロージャムでwarm on a cold nightの二番煎じにもなっていない、さらに彼の犬の骨をあげたなどという歌詞も聞いた瞬間に身がすくむ思いがした。

多かれ少なかれ、アルバムの最初の方に入っている楽曲の焼きましのような楽曲しか今後は出てこない。

「it ain't wrong loving you」はゴスペル・ソウルに少し影響を受け、曲調をそれに合わせているがまったく感動することがなかった。

そして私はストレスを感じずにはいられなかった、なぜなら彼らはアルバムの最初の数曲で、大きな感動を与えてくれたのだ、にも関わらずなぜアルバムを通してその水準の楽曲を聞くことができないのだろうか。

 

しかし、終盤の2曲で私の評価は一変する。

「take you high」ファンキーな楽曲にさらにちょうどいいゴスペルのトーンが響きあうとても良い楽曲だ。

さらに「baby you're bad」最初に聞いた時、この曲はディスコビートだ!と私は感じた、私はディスコ調の音楽をこよなく愛しているので、勝手なバイアスがかかっていることは認めよう、しかしそれにしても終盤の2曲でこのアルバムの評価は見事にもちなおしたのだった。

 

このアルバムは非常に洗礼されたデビューアルバムであり、ところどころ魅力的なトラックもあった。

彼れは力はとてもあると思うので大きな羽をさらに広げてまだ踏み込んでいない領域までテリトリーを広げて欲しいと思う。

 

 

WARM ON A COLD NIGHT

WARM ON A COLD NIGHT