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音楽レビュー等

エレクトロの鬼才ダン・ディーコンが魅せた、Gliss Riffer

ボルチモアを中心に活動しているエレクトロアーティト、ダン・ディーコンを知っているか。

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長野で開催された、TAICOCLUBのも出演していた。

ちなみにTAICOCLUBは2018年で最後を迎えるらしい。

www.musicman-net.com

そんなことはさておき、ダン・ディーコンの最新作の話である。

今作の中で衝撃だったことはあのダン・ディーコンが歌ものを出した点である。

エレクトロの鬼才という異名を持つ彼なので、今までリリースしてきたもののほとんどが音メイン、レイヤーで例えるのであれば音楽が1番最前にあり、2番めに歌声のような構成が多かったのである。

soundcloud.com

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しかし、今作は全く違う。

ダン・ディーコンの楽曲に載せて歌っているのである。

しかも、1曲目の「Feel the Lightning」は女性の声で歌っているにも関わらず、ダン・ディーコン自身が歌っているという実験的なことをしている。


Dan Deacon - Feel The Lightning (Official Video)

全体的に牧歌的な雰囲気が広がっており、前作「America」は攻撃的で音圧が高い楽曲が多かったが、今作ではガラッと変わっている。

さらに今作のタイトル「gliss riffer」聞き慣れない単語であるが、これはダン・ディーコン自身の造語であり、海外メディアにその由来を語っているので翻訳を載せる。

インタビュアー:まず最初にgliss rifferというタイトルの意味について聞きたいんだけど

ダン:glissっていうのはグリッサンドという音楽奏法の名称の短縮形で一音一音を区切ることなく滑らせるように演奏するって意味なんだ。例えばキーボードの上に指を置いてそのまま引きずるように鍵盤の上を滑らしたり、ギターのネックの方までスライドさせるような感じさ。rifferっていうのはギターのリフのことを言い換えているんだけど、インターネットでGrass RafterとかGloss Dripperとかいう単語を見つけたんだけどこれだと思って今回のアルバムのタイトルにしようと思ったんだ。うーんなんというか色々なジャンルを超えたものっていうか、あなただって僕が喋った言葉を書くわけでしょ、こういうのって当たり前に行われていることだけど誰も気付いて無いわけだよ、当たり前だって思ってて。

また他のインタビューではグリッサンドのようなリフが続いている音楽が多いということからつけたとも語っている。

楽曲の話に戻そう。

今作の変化として歌ものが増えたことは上述したが、それに加えもう一点変化したところがある。

それはミニマムな楽曲が収録されている点である。

ダン・ディーコンの音楽はリンク先を参照してもらえばわかると思うが、音数が多く変調が多いことが特徴であった。

しかし、今作のラスト2曲では単調なさらに使われている音数が少ない楽曲が収録されている。

ダンはこの2曲に関して、過去2作では密度が濃く、空間をいっぱいに使った音楽を展開してきたが今作の印象として密集していないことを印象付けたかったと語っている。

ここまでアンビエント(例えが間違っていることは承知の上)な音楽を作れるとはダン・ディーコンの才能には脱帽である。

ダン・ディーコンの新たな側面が見れる今作、前作とも合わせおすすめである。

 

Gliss Riffer

Gliss Riffer

 

 

 

America

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