Burgh【テクノ・ナルシスのすべて】
Burghというバンドをご存じだろうか。
オオウチソウが率いる、東京発のインディーポストパンクバンド。
そんなBurghがP-Vineより新譜「テクノ・ナルシスのすべて」を発売した。
P-Vineといえば昨今様々なアーティストの作品を発表し、ジャンルレスな作品を提供しているレーベルである、そんなところから出されているのも実に感慨深い。
早速聞いてみてほしい。
この不吉な音楽、音像、早すぎて危うすぎてそこがまたツボになっている曲調。
そして若干洋楽のインディーな感じをエッセンスとして取り入れているところが、良い。
カルト・ポップに至っては初期Novembersを彷彿とさせるような音像である。
私の中でカタカナの造語をアルバムのタイトルにしているバンドはおどろおどろしい音像でありつつもポリシーが一本通っていてそこを外さないバンドというイメージを勝手に頂いているのだけれども、それに合致しているバンド。
曲調がどの曲も似通ってしまっているのがちょっとあれだけど。
「酩酊」という曲は聞いてるとほんとに酩酊をしているような気分になる、サイケな音像も若干入っている、なおかつヴォーカルの声がこの音、雰囲気にぴったりとあてはまっているのがすごい。
更に「酩酊」の次の「950」これがこのアルバムの中では気に入っている楽曲で、インストなんだけどずっとスネアが後ろでなっていてそれに轟音のギターフレーズがかき鳴らされる、My Bloody Valentineとかシューゲイザーが好きならたまらない1曲。
更に彼らがすごいのがこの「950」の前と後で楽曲の雰囲気が変わっているところ。
曲のジャンルとしては同一なのだけど、音の重ね方緩急でとても多彩な楽曲を作っている。
序盤でうるさい、もしくは単調すぎてつまらないと感じた方も是非、最後まで聞いて欲しいアルバムである。
そしてこのアルバム、全曲を通して聴くとちょうど29分になっている。
このことに関して、フロントマンのオオウチソウはインタビューにてこう語っている。
CDプレーヤーで聴いたときに、最後の曲が急に終わって、液晶に“29:00”と表示されるのは、いいなと。その“29:00”をみて、ふと我にかえる。ああ、29分たったんだな、と。
時間をも忘れてしまう、テクノ・ナルシスのすべて、この29分間のマジックを皆さんも体験していただきたい。