やりたいことやって生きてこーよ、Slackのかかげる世界観〜My space〜
人は何かを枷を課されながら生きている。最初のうちは楽しいことであってもそれが枷になってしまうかもしれない。
仕事、恋人、友人...そんなことが人間の常だとつねに考えている。
全てがめんどくさくなることもあるだろうし、全てが楽しいなと思える時がじゅんぐりじゅんぐりしているのが世の常、諸行無常とはよく言ったもの。
今回はそんなめんどくせーな感情をあろうことか銀のディスクに乗せて、一般流通させてしまった男のお話。
前回、OZROSAURUSの「ROLLIN`045」を紹介した。ヒップホップ素人のレビュー。
今回はSlack「My Space」
このアルバムで私のヒップホップ観に新たなものが追加された。
よく衝撃を受けたとか180°考えが変わったとかいうけど、変わったじゃない、追加されたんだ。
私の10代、ヒップホップといえばギャングスタラップが最盛期だった、自己のボースト、サグ自慢(カタカナで書くとダサいな)、今となってはボーストもサグも決して誇張表現ではないと分かるんだけど、当時は怖かった。ブリンブリンをジャラジャラとつけている人たちのやる音楽がヒップホップだと。
そして時は経って2012年おそばせながらもこのアルバムに出会った、いや出会ってしまった。
これがヒップホップなのかと、こんなに緊張感のないものがヒップホップなのかと。
エミネムの8mileをはやりに乗って見ていた私にとってこれがヒップホップと呼べるのかと。
気怠い歌い方、はっきりしないトラック、そして気楽なリリック…
私が知っているヒップホップの全てを超越していた、新ジャンルとしてしか捉えることが出来なかった、それがSlackのデビュー・アルバム「My space」なのである。
まず、聞いてみて欲しい。
slackにとっては日常が一番で何をするわけでもなく、このまま友達とストリートで遊ぶことが一番なのである。
何も訴えなくてもいい、ただ作りたいからトラックを作る、歌う。それだけなのである。
これなんて真夜中に思わず自転車を漕ぎだしてしまいたくなってしまう。
どうやってこんなトラック作れるんだろうな、とにかくすごい。
今でもよく聞くんだけれど、とにかくリズムがとりづらい、いやビートは根でしっかりと刻まれているんだけど、上モノの鳴りとか色々なものが複雑に乱雑に絡み合っているので複雑に聞こえてしまうんだろうな。
何を言っているか聞き取りづらい歌い方も、味だと感じてしまう。
SlackのCDにはリリックの記載が無い。それはSlack自身のこだわりであり、私もそれが分かってしまうとSlackらしさが無くなってしまうのではないかと思っているので、今のままにしておいて欲しい。
この後彼は福岡に拠点を移してしまうがそれはまた別の話。
とにかく、私のヒップホップ、音楽観に大きな衝撃を与えた1枚であることには変わりない。
- アーティスト: S.L.A.C.K.
- 出版社/メーカー: DOGEAR RECORDS
- 発売日: 2009/02/18
- メディア: CD
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