Chairlifft【Moth】
Chairliftが新譜【Moth】をリリースした。
Chairliftといえば日本ではあまり知られていないバンドだと思う。
しかし、1stに収録されている、「Bruises」ならば耳にしたことも多いだろう。
iPod nanoのCMソングとして使われていた上記の楽曲。
私も「Bruises」からChairliftを知った口なので、カントリーチックなデュオなのかなと思ってましたが、【Moth】を聞いて印象が一変。
ピッチフォークのインタビューではアルバムのテーマを尋ねられて、ニューヨークをテーマにしていたと語っていたが正直何がニューヨークなのかが分からない。
ジャンルレスな感じがニューヨーク感を醸し出しているのだろうか。
何かが流れ出るように始まるM1「Look up」
runing runing runing Look up hey Look up heyと何かに追われているような歌詞。
M2「Polymohing」では曲間に重々しいノイズのような音が入ったり、いきなりフルートのような音が聞こえたり悲鳴が聞こえたりと一筋縄ではいかない感じが随所に出ていてタイトル通り変化をしているような曲。
mohingというのには変化という意味があるんですが、これはジャケットの蛾が孵化をして成長になる変化を表しているのではないかと思いますだとすると、次の曲を収録した理由も分かる気がします。
M3「Romeo」
こっから今までのChairlift感が無くなります。
完璧に無くなります、他のバンドというよりソロ作みたいな出来栄えです。
アップテンポ、更にシンセポップと最近の曲な感じです。
そう、ここで一気に過去の楽曲との決別を計るかのようなシンセポップです。
つまり、このアルバムは今までのChairliftとの決別をはかる為のアルバム...なのかもしれません。
MVのキャロラインポラチェックがめちゃくちゃ綺麗です。
Bruisesの時にライブ映像とかチェックしてた時はあか抜けない女の子感が満載でしたが今回は綺麗。
MVの冒頭のセリフから賭け事が行われているのは分かるんですが、結局誰がキャロラインポラチェックを狙ってるのかよくわからない...、そして私を連れてって、あなたの靴の中に入れて連れてって、準備はできてるわと歌ってることから誰かに連れてってもらいたいことは分かるんですが...こういったMVに意味を求めてあんまり意味ないですね。
この楽曲のMVが作成されているということはおそらく前述通りなのではないでしょうか。
M4「Ch-Ching」
ここでまたR&B調の楽曲が登場します。
あくまでR&B調ですからね、調。
そしてこの曲、2013年のPitchfork festival出場時に演奏したらしんですが、その演奏時をオリジナルとするとだいぶオリジナルからカットされている部分があると。
これに関してキャロラインポラチェックはインタビューで下記の様に語ってます。
この曲は他の曲に比べてとても長く、アルバムに収録する時にはある程度
編集をしたかったの、でもどの部分も好きすぎてとてもカットできるところなんてなかったわ、だからLAに行った時にRobin Hannibalと会って共同で作業をしたことによって彼からたくさんの良い意見をもらったの、たとえオリジナルと違くてもこの楽曲には魂が宿ってるわ。
上記がオリジナルです。確かに下記の収録版と比べるとだいぶ違う、オリジナルの方が好みです。
そしてこの楽曲にはビヨンセとコラボした時の影響が出ているのではないかと噂がありましたが、本人はバッサリとそれを否定しています。
M5「Crying in public」
M4までの流れとは打って変わりとても聞かす歌が流れます。
電子音も一切なし、これぞChairliftという歌。
特にサビのポラチェックの声がグッド。
最後のサビ前で物事の変化、あり得ない出来事も起こりうるだから私を許して欲しいと語るあたりが素晴らしい。
全編を通じて訴えかけてる変化がここでもキーファクターになりますね。
Chairlift - Crying in Public (Audio)
M6「Ottawa to Osaka」
タイトルに大阪が入ってる理由はあんまりなくて、途中に飛行機のアナウンスが日本語で入るので多分それを使いたく日本の地名を入れたっぽい。
途中からポエトリーディングが入る、ゆったりとした曲。
それよりもアナウンスがお客様の手荷物が見当たらないとか言っているのでそのあたりに真意が隠されているのかも。
M7,M8,M9はもつれる男女の曲といったところ、ニューヨークに住んでない者からすると、ニューヨーカーっぽい感じがプンプンするのでそれはとても良いことなのかもしれない。
そしてここでもおそらくだけどその男女のしがらみを超えた先の変化、ポラチェックが歌っているので女性側の変化が今回のアルバムを通じての変化につながっているんだろうなと思う。
M10「No such things as illution」
日常の生活はイリュージョンではないと歌うこの曲、最後の最後でミニマムミュージックをぶち込んできました。
ポラチェックの歌声がとても綺麗、そしてサビの何重にも声が重なりあうところは壮麗。
アルバムジャケットからも分かる通り、孵化がテーマなんですよね、このアルバム、全楽曲から変化を感じ取れる(兆しの部分もあるが)
それに変化変化言ってるのは私の想像であって、ピッチフォークのインタビューでポラチェックはこのアルバムのテーマを3文字で表してと言われ「joyful,gooey and personal」と答えてる。でも私は変化説を押したいね。
とにかく、2ndを聞いてない私が何を言っても説得力は無いのだけれどデュオとしての力は格段に上がっている。
新たな武器を手に入れたといったところかな、シンセポップ気味の曲はセールスを考えた時にとても良い武器になると思う、でも日本ではあんまり受けないかな...
興味を持ったら聞いて欲しい。
Number Girlの再結成はあるか。
昨日、ウイルス性の胃腸炎を患い、会社を休んで迎えた夕暮れ時、こういう時聞ききたくなるのがNumber Girl。
なんなんだろうか、この持て余した感じにぴたりとハマる感じ、決して寄り添ってくれるような音楽では無い。
むしろ、近づいてくるものを傷つけるような音楽なのに、聞きたくなる。
今日は聞けるタイミングがあればNumber Girlを聞いていた。
やっぱり【Sappukei】が一番好きだな。
「Urban Guitar Sayonara」は素晴らしいよ。
最初のピアノの入りが最高。
Number Girl - Urban Guitar Sayonara (Sawayakana Ensou)
リアルタイムで見れてないのが本当に悔しいバンド。
僕らの向井秀徳はやっぱりZAZEN BOYZなんだよなぁ。
あの飲んだくれ向井秀徳がエネルギッシュにこれぞ青春というエネルギーを発散してるところを見た時の衝撃はすさまじかった(映像で)
閑話休題。
ここでタイトルに戻る。
昨今の再結成ブーム、Number Girlの再結成はあるか。
ないだろう。
残念ながら、する必要が無い。
今の向井秀徳にあのテンションは無理だろう、あれはやっぱり向井秀徳にとっての青春だったのだろう。
ベースの中尾憲太郎も充実した音楽ライフを送ってるしな、アヒトイナザワにしてもそう。
田渕ひさ子もなぁ、旦那さんが亡くなってしまったけどないだろうなぁ。
向井秀徳だけ異様に年取ってる何故なんだろう。
体のキレも悪そう、中尾憲太郎は一昨年、ART-SCHOOLのライブを観に行ったときに曲を間違えてこぶしを振りかざすシーンがあったが、すげぇキレだった、木下理樹もビビってた。
アヒトイナザワはVOLAですげぇ踊ってたし、現役感バリバリだった。
凄い大げさなタイトルつけちゃったけどやっぱり聞くと思いだすよ、色々なことを。
THE ラブ人間【きっとずっと彼女は友達】
THEラブ人間を聞いた。
きっかけは下の記事を読んだから。
小沢 やっぱりさ、金田くんにはパワーがあるよね。
金田 ありがとうございます。俺がやってることは古いと思ってるんですよ。時代遅れって言われてもしょうがないことだと思ってる。でもまっすぐドーンとしたものをやらないと気がすまないんですよね。それこそ小沢さんはTHE BLUE HEARTS、THE HIGH-LOWS、ザ・クロマニヨンズが好きじゃないですか。遥にTHE HIGH-LOWSのアルバムの「ロブスター」「バームクーヘン」「Relaxin' WITH THE HIGH-LOWS」を聴かせたんです。そしたら遥、「コインランドリー」っていう曲のギターの音を聞いて「こんなギターの録音アリなんすか?」って言うんですよ。ベースもドラムも聞こえないくらいギターが大きいんだけど。それを今回のアルバムの「気分を出してもう一度」でやってるんですよね。
特にブルーハーツが好きだったりする訳ではないんだけど何故か自分にこの部分が刺さった。
THEラブ人間、名前だけは知っていたけどそのバンド名からコミックバンドかなって勝手に思っていて、聞かず嫌いだった、バンドが6人と意外と大所帯だったのが気になり聞いてみた。
最新アルバムが本日発売らしいが、昨年リリースのEPを。
全6曲入りなんだけど、この6曲が全部違うジャンルの楽曲だった、そこに一番驚いた。
いや、違う楽曲だって思ってるのは耳が悪いだけかもしれないんだけどほんとにそう聞こえていて、ここまでのバリエーションを持てるバンドって中々稀だぞと。
Amazonとか見てるとM1の「FUSHIGI DANCE」が割りと押されてるんだけど、1曲目は正直どのバンドでも書けそうな楽曲であまり面白みがない、それよりもM2の「今夜パーティーがないのならどこかに映画を観に行こう」が6人バンドである利点をフルに使ってる、なんかストリングスっぽい音も聞こえてくるし、ジャムバンドとロックバンドの間ぐらいを良い感じで走ってる感じがグッド。
M6「All Tomorrow's Tokyo[remixed by 玉屋2060%]」これリミックスされてるんだけど元曲ってあるのかな、あるなら聞いてみたい、ってかこのリミックスが面白くて、最初雑踏のサンプリングから入るっていう私にドンずばな感じから一気に持ってかれました。
THEラブ人間「FUSHIGI DANCE」【Official Music Video】
インタビューも読んでフロントマンの金田康平が一本筋を通していきたいと言いつつも色々な音楽に対して興味を持ってそれが実現できる土俵がやっと出来た感じかなと思ったので今後どんな道に進むのか期待度大、ってか古くから知ってるファンが読んだらすげぇ批判されそうな内容だな。
あと声は受け付けない人いそうな声でした。
あ、あと新譜はクラウドファウンディングで集まった資金を利用して作成したと記載があったりあと多分自主レーベルからCD出してるっぽい、公式HPを見たところ毎年自主企画を敢行したりとDIY感満載なバンドみたい。
Burgh【テクノ・ナルシスのすべて】
Burghというバンドをご存じだろうか。
オオウチソウが率いる、東京発のインディーポストパンクバンド。
そんなBurghがP-Vineより新譜「テクノ・ナルシスのすべて」を発売した。
P-Vineといえば昨今様々なアーティストの作品を発表し、ジャンルレスな作品を提供しているレーベルである、そんなところから出されているのも実に感慨深い。
早速聞いてみてほしい。
この不吉な音楽、音像、早すぎて危うすぎてそこがまたツボになっている曲調。
そして若干洋楽のインディーな感じをエッセンスとして取り入れているところが、良い。
カルト・ポップに至っては初期Novembersを彷彿とさせるような音像である。
私の中でカタカナの造語をアルバムのタイトルにしているバンドはおどろおどろしい音像でありつつもポリシーが一本通っていてそこを外さないバンドというイメージを勝手に頂いているのだけれども、それに合致しているバンド。
曲調がどの曲も似通ってしまっているのがちょっとあれだけど。
「酩酊」という曲は聞いてるとほんとに酩酊をしているような気分になる、サイケな音像も若干入っている、なおかつヴォーカルの声がこの音、雰囲気にぴったりとあてはまっているのがすごい。
更に「酩酊」の次の「950」これがこのアルバムの中では気に入っている楽曲で、インストなんだけどずっとスネアが後ろでなっていてそれに轟音のギターフレーズがかき鳴らされる、My Bloody Valentineとかシューゲイザーが好きならたまらない1曲。
更に彼らがすごいのがこの「950」の前と後で楽曲の雰囲気が変わっているところ。
曲のジャンルとしては同一なのだけど、音の重ね方緩急でとても多彩な楽曲を作っている。
序盤でうるさい、もしくは単調すぎてつまらないと感じた方も是非、最後まで聞いて欲しいアルバムである。
そしてこのアルバム、全曲を通して聴くとちょうど29分になっている。
このことに関して、フロントマンのオオウチソウはインタビューにてこう語っている。
CDプレーヤーで聴いたときに、最後の曲が急に終わって、液晶に“29:00”と表示されるのは、いいなと。その“29:00”をみて、ふと我にかえる。ああ、29分たったんだな、と。
時間をも忘れてしまう、テクノ・ナルシスのすべて、この29分間のマジックを皆さんも体験していただきたい。
blocparty「HYMNS」
city your city-yours-
City Your Cityは、k-overとTPSOUNDによるエレクトロニックデュオ。UKアンダーグラウンドクラブシーンに通じる不可解でありながらポップなTPSOUNDの作り出すビートの上を、k-overのインディーロックの気だるさと女性R&Bシンガーを彷彿とさせるボーカルが混ざり合い、新しいポップミュージックが出来上がった。
フランシス ハに想う大学。
「フランシス ハ」を見た。
バレエカンパニーの研究生で27歳のフランシス(グレタ・ガーウィグ)は、大学在籍時の親友ソフィー(ミッキー・サムナー)とニューヨークのブルックリンで共同生活をしていた。ある日、彼女は恋人に一緒に暮らそうと誘われるが断り、その後別れることに。ところがソフィーがアパートの契約更新を行わず、引っ越しすると言ったことで……。
あらすじ通り、夢見る少女であるフランシスがいつまでも実習生をやりつつ、夢見てるだけではお金はもらえない。
恋人からの同棲を断ったところからすべてが上手く回らなくなっていく、知り合いのつてで色々なところで部屋を借りたり居候をする、そして最後は大学まで戻り...
最後の最後で救いがあるこの映画。
何故フランシスハなどというタイトルになったのかそしてこの映画の言いたかったことがダブルミーミングになっていることが驚愕。
とにかく、フランシスが天真爛漫なところが見る人々の心をグッと掴むこと間違いない。
ただ、その爛漫さが仇となり、色々なところで空気読めない発言をしてしまい、居候の身なのに気まずくなったりする。
また俗に言う出不精なのでわざわざパリに行ったのに起床が16時なんてこともあったりする。
最終的に大学の寮で管理人を行うところまで行くんだけども、これが中々にわたしに重なることが多くてつらい。
私自身、大学を卒業して2年経つが戻りたいと未だに思うことがある。
しかし、大学ってのはモラトリアムと揶揄されることがあるようにいつまでも方向性を決めずにダラダラ出来るところという見方が一般的だと思う。
そこに戻ってきちゃうと、結局学生たちは10代後半から20代前半の前途洋々な若者たち、一方27歳のフランシスはここでも自分の居場所を掴めずにいる...
やっぱり大学って若者の物であって20代後半とかで行くと場違い感が出るのかなと考えてしまう。
前述のとおり、ラストですっきりとするこの映画、自分の居場所に不安を感じている、自分が今後どうすれば良いのか分からない人に見てほしい、きっと今後の人生のヒントを掴めるはずだがら。